広島大学FE・SDGsネットワーク拠点(NERPS)

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全学取組実績

熱電材料の発電電力を従来比1.5倍に(先進理工系科学研究科 量子物質科学プログラム 教授 野原実)


現代社会では,化石燃料を利用する発電所や自動車,ゴミ焼却場からお風呂の残り湯まで,排熱が至るところに存在する。本研究では,この排熱から電気エネルギーを直接取り出すことを可能にする熱電変換材料の高性能化,特に従来材料を超える「出力因子」の達成に取り組んでいる。

熱電材料から取り出すことができる電力の指標である「出力因子」を大きくするには、「金属的な電気伝導」と「巨大な熱起電力」を両立する必要がある。そのためには電子-正孔励起の非対称性が大きい「マルチポケット構造」や「プリン型枠型構造」などの特異なバンド構造を有する物質を創成する必要がある。私たちは,この指針に基づいて物質開発の研究を進め,パイライト型の結晶構造を有する白金化合物の出力因子が従来材料の1.5倍に達することを明らかにした。今後は,第一原理計算による理論的手法も活用し,より安価な元素を用いた熱電材料の開発に取り組む計画である。

 

  • 投稿日:2021年8月7日

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