広島大学FE・SDGsネットワーク拠点(NERPS)

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全学取組実績

経済・社会・環境インパクトの評価を通じて持続可能なパーム油産業の発展に貢献(NERPS 拠点長・教授 金子慎治)


パーム油は私たちが日常的に使う多くの製品(食品・日用品)に含まれています。生産過程で環境負荷が多いことなどから悪者扱いされる、一方でパーム油産業で生計を立てている人々がいたり、生産効率が高いパーム油は私たちの生活には欠かせません。

世界の食糧油供給量の3分の1を担うパーム油産業は、安価な食用・材料用の植物油を供給する産業としてきわめて重要な産業です。同時に、パーム産業からは多量の廃棄バイオマスが発生し、持続可能性が問われています。そのため、パーム産業からの廃棄バイオマスの利活用は、持続可能性を高め、特に気候変動対策としてのエネルギー利用の可能性の一つとして注目されています。他方で、パーム油生産の拡大が、マレーシアやインドネシアなどの生産地におけるパーム農園の拡大とそれにともなう森林破壊をもたらしています。また、パーム農園での児童労働など社会的な問題も指摘されており、廃物以外の視点からもパーム産業の持続可能性が危ぶまれています。

2019年に採択されたSATREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム)事業では、パーム産業の未利用廃棄物の中で25年間の生産サイクルを終えて廃棄されるパームの古木に着目しています。パーム農園からパーム古木を取り出してリサイクルし、ペレットを生産し、日本に輸送してバイオマス燃料として発電に利用しようというアイデア実現に向けて産学が連携して超学際的なアプローチで取り組んでいます。技術的な検討に加え、広島大学金子慎治教授をグループリーダーとするパーム生産国と日本市場を統合したシステムに対して、LCA(Life Cycle Assessment)分析や費用便益分析を行い、持続可能性や経済性を確認する課題も含まれています。

ウエブサイト:オイルパーム農園の持続的土地利用と再生を目指したオイルパーム古木への高付加価値化技術の開発 (jst.go.jp)

  • 投稿日:2021年10月14日

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