航空機やスポーツ用品などには軽量かつ高強度な炭素繊維強化樹脂(Carbon Fiber Reinforced Plastics, CFRP)が使われているが、その製造プロセスにおいては、二酸化炭素の排出量が極めて多い。セルロースナノファイバーは植物から精製できる材料で環境にやさしく、高強度かつ軽量な特性を持っている。そのため、CFRPとの複合化し、その使用量を抑制することで二酸化炭素排出量を減らす研究が活発に行われている。しかし、セルロースナノファイバーは親水性で、CFRPの母材である樹脂は疎水性であることから、化学薬品などを用いたセルロースナノファイバーの疎水化処理が不可避となるため、逆に、環境負荷も大きくなり、コストも上昇する。われわれは、水性樹脂にセルロースナノファイバーを分散するという発想により、化学薬品を用いた疎水化プロセスを必要としないCFRPとの複合化手法を開発した。