アイルランド人美学者エドマンド・バークに由来する「崇高」概念の核心を「聴覚・触覚の重視」「痛苦反転」と理解し、多様なアイデンティティをもつ作家ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が示した出雲の文化・神話への共鳴・感応 ―死者・敗者・弱者に対する交感力― を論ずる学術講演「八雲=ハーンの眼と耳、その〈痛苦反転〉の文化力―アイルランドと出雲―」(科研費招聘:2023年7月7日、富山大学人文学部/Zoom同時配信)をおこなった。
講演では、AIと違い本来的にヴァルネラブルな人間が、「聴く・待つ」態度を基盤に、痛苦反転の思考を「文化力」として活かす可能性にも言及した。誰ひとり取りこぼさない精神的な豊かさを享受しうる平和な未来社会実現への人文学(美学・感性哲学)的な基礎研究からの提言事例である。