広島大学病院放射線治療科では、2016年から2021年にかけて広島大学の中期計画における戦略番号3「国際交流の推進と地域社会への貢献」における取り組み9世界最高水準の放射線治療チームの育成と地域及びアジア近隣諸国への展開」に応対するプロジェクト活動を行ってきました。本プロジェクトの目的は、世界最高水準の放射線治療体制を実現することであり、そのために放射線治療チームを構成する優秀な人材育成、高度な技術及び情報基盤を有効に活用するためのハブ機能の構築、アジア近隣諸国へのハード・ソフト両者での支援を行い大きな成果をあげました。現在は、本プロジェクトから得た知見、チーム力を活かした活動を継続して行っています。以下に我々が行っている活動の一部をご紹介します。
①低中所得国研修員への高精度放射線治療システム研修事業
②HICAREとIAEA協働による先進的放射線治療に関する国際医療研修事業
③日本全国の放射線治療スタッフを対象とした広島放射線治療チーム医療研究会
④放射線治療関連の県民公開講座を毎年開催
本事業は、International Atomic Energy Agency (IAEA) の技術協力研修員プログラムを活用して実施している先進的放射線治療研修です。
2019年から始まった事業で、これまでにモンゴルの国立がんセンターより、5名の放射線腫瘍医、3名の診療放射線技師、ベトナムのハノイがん腫瘍病院より1名の放射線腫瘍医を研修生として受け入れ、主に体幹部定位放射線治療、強度変調放射線治療を主体とする最先端の高精度放射線治療技術および同治療のための品質保証・品質管理に関する研修を実施しています。
2023年5月はモンゴル国立がんセンター研修生を3か月の予定で受け入れました。(参照:写真左・詳細はこちらをご覧ください。)また、2023年9月からはモンゴル国立がんセンター放射線治療科の医学物理士のウンドラクさんが6カ月の予定で研修を開始しています。
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放射線被曝者医療国際協力推進協議会(HICARE)HPより:
当科HPより:
低中間所得国の放射線治療スタッフに対して最先端の放射線治療の知識を提供し、がん患者に対し効果的で安全な放射線治療を提供する人材の育成を図ること目的とした研修「HICARE/IAEA International Training Course of Advanced Radiation Therapy」を2015年より隔年で実施しています。2021年度はCOVID-19パンデミックのため休会となりましたが、2022年11月11日~15日にかけて第4回のTraining Courseを開催しました。
※HICARE: Hiroshima International Council for Health Care of the Radiation-exposed
(放射線被曝者医療国際協力推進協議会)
※IAEA: International Atomic Energy Agency (国際原子力機関)
第1回~第3回「先進的放射線治療に関する国際研修会」(HICARE/IAEA International Training Course on Advanced Radiation Therapy)については、以下のURLよりご覧ください。
「広島放射線治療チーム医療研究会」は2017年より毎年開催している放射線治療における多職種共同チーム医療に関する研究会です。当初は、広島大学の関連病院の放射線治療スタッフを対象として施行していましたが、COVID-19パンデミック下ではWEB開催としました。WEB開催としたのを契機に日本国内の放射線治療施設にも参加を呼び掛けたことで第6回研究会は250名におよぶ多くの放射線治療スタッフに参加して頂きました。次回の第7回研究会は2024年2月開催の予定で鋭意準備中です。
本事業は、広島がん高精度放射線治療センター(HIPRAC)が主催している広島県民に向けた公開講座で、我々は毎年演者として参加しています。臓器を温存してがんを治癒に導く放射線治療を県民の皆様に少しでもわかりやすくお伝えできるよう努めています。
公開講座:発見しよう!自分に適した「がん治療」