2022年3月1日から4日までの4日間,初のNERPS主催となる国際学会「Hiroshima International Conference on Peace and Sustainability 2022」が,広島大学東広島キャンパスにおいて開催されました。世界38か国(注1)からおよそ200人の研究者や実務者や学生が,ハイブリッド形式で開催された本国際学会に参加しました。
パネル討論,ラウンドテーブル,ワークショップを含む,合計32のセッションが行われ,環境,社会政治,経済,テクノロジーにおける変革が進む中で,複雑かつダイナミックな平和と持続可能性について議論する口頭発表は,127に上りました。最終日には,それぞれ3つの特に優れた論文と発表が表彰されました。本国際学会で発表された優れた論文については,シュプリンガー・ネイチャー・グループが発行する書籍またはエルゼビアが発行する国際学術誌の特集号に掲載される予定です。
NERPSが,4大学・研究所(コロンビア大学,デンバー大学,ストックホルム国際平和研究所,ノッティンガム大学中国寧波校)と共同で,2020年秋に実施を開始していた平和と持続可能性に関する国際拠点化を目指すトランスディシプリナリー研究プロジェクトのそれまでの成果についても,本国際学会で発表されました。これらの4大学・機関を含む15の大学・機関(注2)が,パートナー機関として,セッションを企画・実施するなどして,それぞれ本国際学会に貢献しました。
最終日には,コロンビア大学のジェフリー・サックス教授が基調講演を行い,気候変動,ウクライナへの軍事侵攻を含む現在世界が抱える6つの課題を取り上げ,その平和と持続可能性の達成に対する影響について分析するとともに,これらの課題の解決に向けた国際協力・パートナーシップの重要性を強調しました。また,本国際学会参加有志によってウクライナへの軍事侵略に反対する共同声明が発表されました。
平和と持続可能性に関する国際学会は,今後毎年開催される予定で,平和,持続可能性,または両者のつながりに関連する問題に取り組んでいる研究者,実務者,大学生・大学院生の間における交流を深め,関連する研究や政策対話の一層の促進に貢献することが期待されています。次回は,2023年3月に,タイにおいて開催される予定です。
(注1)
東アジア: 日本,中国
東南アジア:カンボジア,インドネシア,マレーシア,フィリピン,タイ, ベトナム
南アジア: バングラデシュ,インド,ネパール,パキスタン
大洋州: オーストラリア,ニュージーランド
欧州: フィンランド,ドイツ,アイルランド,オランダ,ノルウェー,スペイン,スウェーデン,スイス,英国
北米: 米国,カナダ
中南米: エルサルバドル,ホンジュラス,メキシコ,パナマ,ペルー
中近東: アフガニスタン,イラン,モロッコ,シリア
アフリカ: カメルーン,ガーナ,ケニア,南アフリカ
(注)日本・中国・インドネシア・マレーシア・フィリピン・タイ・ベトナム・インド・ネパール・ドイツ・米国・モロッコ・ガーナ・南アフリカの14か国は,3月4日の,国際学会参加有志によるウクライナへの軍事的侵略に反対する共同声明の発表に加わった参加者の出身国
(注2)
日本の大学・機関:九州大学都市研究センター, 東北大学経済学研究科政策デザインラボ, 総合地球環境学研究所,
一般財団法人 リモート・センシング技術センター, 広島県及びへいわ創造機構 ひろしま(NGOを含む20団体で構成)
海外の大学・機関:コロンビア大学, デンバー大学,ストックホルム国際平和研究所, ノッティンガム大学中国寧波校,
地球システムガバナンス(オランダ),経済平和研究所(オーストラリア),ノース・サウス大学(バングラデッシュ)
国際機関: 国連訓練調査研究所
出版社: エルゼビア
議長(金子慎治教授(NERPS拠点長)),
副議長(アヨーブ・シャリフィ准教授,ダーリア・シマンガン准教授),
事務局スタッフ
1セッションの様子
ジェフリー・サックス教授による基調講演 (詳細は、https://nerps.org/2022/03/06/hicpskeynote/ )
ロシアによるウクライナ侵略に反対する共同声明の発表 (詳細は、https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/69702 )