日本におけるC型ウイルス肝炎、B型ウイルス肝炎などの肝炎ウイルス感染状況の把握及び肝炎ウイルス感染後・排除後の長期経過に関する疫学研究を実施し、政策の企画立案、基準策定、行政施策の科学的根拠となる基礎資料を提示するための研究を行っています。また、WHOが採択した2030年ウイルス肝炎のElimination目標の達成のため、自治体地域毎に異なる課題の明確化、地域の治療実態等の特性に応じた方策の研究を行っています。
世界におけるB型肝炎ウイルス(HBV)の感染者は20億人、HBV持続感染者(キャリア)は3.5億人、毎年約60~100万人がHBV関連肝疾患で死亡していると推定されており、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国は特にHBV高浸淫地区となっています。2018年よりサハラ砂漠以南、西アフリカに位置するブルキナファソにおいて、Clinical Research Unit of Nanoro(CRUN)とB型肝炎ウイルス肝炎状況調査の国際共同研究を行っています。WHOが採択した2030年ウイルス肝炎のElimination目標の達成のための基礎資料として成果が期待されます。
2016年より、カンボジア保健省、カンボジア健康科学大学、WPRO(WHO Western Pacific Region世界保健機構 西太平洋事務所(マニラ))、CDC(Centers for disease control and preventionアメリカ疾病予防管理センター)との国際共同研究のもと、カンボジア全土を対象とした、肝炎ウイルス感染状況全国調査を実施しています。2018年には、カンボジアが5歳児のB型肝炎ウイルス陽性率を1%以下とするWHO目標を達成したことを実証しました。また、2016年より実施しているカンボジア全国調査結果、カンボジアにおける母親集団における感染率は4.39%と高率であり、HBs抗原陽性母親を持つ児における感染率は10%と高く、同国におけるB型肝炎ウイルス母子感染対策強化が課題として見いだされました。2019年よりカンボジア保健省母子保健センターおよびWHOカンボジアとの国際共同研究のもと、カンボジア北西部、シェムリアップ州の3医療機関において妊婦および出生児を対象とした血清疫学調査を実施しています。
肝炎ウイルス感染状況全国調査カンボジア現地調査の様子
広島大学肝炎・肝癌対策プロジェクト研究センター:https://epivh01.hiroshima-u.ac.jp/