「ヨーロッパ環境地誌」という授業は,総合科学部の専門科目だけではなく,教員免許の授業として文学部,教育学部の学生も受講する地誌の授業である。往来の地誌と異なり,「持続可能性」を軸に講義を組み立てている。各テーマについてまず持続可能な発展なら,どのような方向性が望ましいかと検討し,評価基準を考える。その上で,ヨーロッパ全体の統計資料と各地域の事例に基づいて説明する。 主なテーマはヨーロッパの地域と景観,ヨーロッパにおける農業と有機栽培の普及,都市計画と持続可能なまちづくり,交通ネットワーク:自動車社会からの脱出,エネルギー市場と再生可能なエネルギー資源,リゾート地の発展と持続可能な観光開発,ヨーロッパにおける環境問題である。
記述的な性格が強い地誌の授業に,このような形で問題意識を強めるきっかけを導入し,学生が理論的な背景と同時に具体的な取り組みとその課題を知ることができ,そして持続可能性と地域の条件の関連について考えるようになる。 写真は持続可能なまちづくりで日本の教科書にも登場するドイツのフライブル市のエコモデル地区である(写真:フンク・カロリン)