プラスチックは私たちの生活には欠かせない材料です。しかしながら、その一方で、海洋プラスチック問題や、プラスチックの製造に伴うCO2の排出とその地球温暖化への悪影響など、多くの深刻な問題を抱えています。これらの抜本的な解決には、高分子材料に関するブレークスルーが必要です。そのような背景から、自然界で分解して消失する生分解性プラスチックが注目されています。
ポリ乳酸はその代表例で、トウモロコシのような天然資源から発酵を利用して原材料を得ることもできるため、生態系への影響を低減させることが可能です。しかしながら、ポリ乳酸だけでは従来のプラスチックのすべてを代替できるほど様々な機能を実現することができません。そこで、医系科学研究科生体材料学研究室では、生分解性プラスチックの多様性の拡大を目指して、グリーンケミストリーに基づく次世代プラスチック(グリーンプラスチック)に関する研究を行っています。
研究は緒についたばかりですが、遺伝子工学の手法を駆使して分子デザインされたタンパク質を構成要素として利用できないかと考えています(「プロテイン・ポリマーの創製」に関する遺伝子組換え実験:機関承認番号:2020-245)。この手法は分子デザインの自由度が高く、製造工程のスケールアップも可能であるため、魅力的な手法になり得ると期待しています。