広島大学FE・SDGsネットワーク拠点(NERPS)

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全学取組実績

悪性中皮腫診断に必須となる新しい免疫染色に用いるマーカー(抗体)のDNAマイクロアレーによる網羅的遺伝子発現解析を用いた探索(広島大学大学院医系科学研究科病理学研究室 教授 武島幸男)


私たちの研究室では、悪性中皮腫診断に必須となる高い感度と特異度を持つ新しい免疫染色に用いるマーカー(抗体)を、DNAマイクロアレーによる網羅的遺伝子発現解析を用いることによって探索しています。その結果、上皮型中皮腫で陽性を示し、肺腺癌で陰性を示すことの多いマーカーとして、Intelectin-1とDAB2 (Am J Surg Pathol, 2017, PMID: 28394802)、Glypican-1 (Mod Pathol, 2018, PMID: 29327712)、SOX6 (Am J Surg Pathol, in press, PMID: 32496433)を、一方、上皮型中皮腫では陰性であるが、肺腺癌では陽性となるカーカーとしてMUC4 (Scientific Report, 2018, PMID: 29317712)と MUC21(Histopathology, 2019, PMID: 30329165)を見い出しました。これらのマーカーは従来、上皮型中皮腫の陽性マーカーとして頻用されているCalretinin、D2-40、WT-1、陰性マーカである Claudin-4, TTF-1, Napsin A, CEAなどと同等、あるいは、これらを上回る正診率を有しています。

また、中皮腫では肉腫の形態を示す中皮腫(肉腫型中皮腫)と肺の肉腫様癌の鑑別診断がきわめて困難である場合が少なからずありますが、MUC4が肺肉腫様癌では70%以上が陽性となるのに対して、肉腫型中皮腫では陽性例は皆無であり、これも鑑別診断に応用が可能と考えています(Mod Pathol, 2017, PMID: 28128276)。

今後、さらに中皮腫と鑑別診断の必要な各種疾患を除外し、中皮腫と確定するための新規マーカーを探索していく予定です。

  • 投稿日:2021年8月27日

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